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ステークホルダー
ステークホルダー(stakeholder)とは、もともとは「賭け金の保管人」のことだが、イギリスのブレア首相が選挙戦で使われた言葉で、「企業の利害関係者」のことを意味する。その具体的な内容は、顧客、消費者、従業員、株主、債権者、得意先、仕入先、行政機関、地域社会など、企業を取り巻くあらゆる種類の利害関係者を指すこととなり、このことはマルチ・ステークホルダーと呼ばれる。ステークホルダーは、株主であるシェアホルダーに対置される言葉(概念)である。
企業と、それぞれのステークホルダーとの関係は、互いに独立なものでもないし、また、利益とともにするものだとは限らないため、利害の対立もありうる。会社が生み出した利益を、商品の低価格化として顧客に還元するか、給料の上乗せしたり、賞与として配分することで従業員に還元するか、配当を増やすことで株主に還元するかは、様々に戦略を立てることができる。財務会計においても、ステークホルダーをどう捉えるかは、重要な問題であり、当然、バランスシートにも強く影響することとなる。ステークホルダー(利害関係者)の意見を聞き、また、そのニーズを追求し、経営改善に役立てることを求める積極的なプロセスは、ステークホルダー・エンゲージメント(stakeholder engagement)と呼ばれる。
近年においては、企業を取り巻くステークホルダーは流動化が進んでおり、その原因には、終身雇用制度の崩壊や株式持合いなどがある。また、潜在的な株主であり、また、潜在的従業員・消費者としても捉えられる地域社会も、重要なステークホルダーとして考えられるようになっている。また、企業買収においても、あらたにステークホルダーとなる相手との関係性は重要である。
ステークホルダーは、利害関係者を表すが、それらとの関係自体も含む概念として捉えられるので、「会社はだれのものか?」等の問題を含むコーポレートガバナンスや、コンプライアンスといった概念との関わりも深いと考えられる。各ステークホルダーに対する個別具体的な態度を、単なるイメージとして捉えるのでなく、理論的に分析し、明確にすることが、経営上の危機管理にもつながることとなる。